Such Is Life

soul-searching-diary

時空を超える旅 カイロ到着 エジプト紀行 vol.1

始まりは新聞に掲載されていた「エジプト7日間9万円」の広告だった。

かねてより「エジプトに行きたい」と言い続けていたカミさんの希望もあり、格安と思えるツアーに飛びついた。テロ事件発生以降、観光客が激減しているというエジプト事情から打ち出された破格のツアーだろう。体験後もあの行程が9万円に収まるからくりが分からないほどだ。

 

f:id:bucketlist:20170315074841j:plain

写真を振り返って見てみると色彩が単調である。建造物の大半が茶色だ。エジプトが石で創られた文化であり、年間総雨量が30mlという小雨の乾燥地帯では、全ての物が埃にまみれて赤茶けて見える。そんな訳でこれから紹介させて頂く遺跡や建物の写真は、その歴史的価値を考慮しなければ、どれを取っても代わり映えのしない風景に映るかも知れない。また歴史的な解説は、僕の浅学では役には立たないので遠慮させて頂くことにする。興味のある方は吉村作治先生の著書を購入されることをお勧めします。かような事情をお含み置き頂いて、エジプト紀行をご覧頂けたら幸いです。

 

f:id:bucketlist:20170315080702j:plain

コシャリ

成田からの長旅を終えてカイロ到着後に昼食を。今回の紀行文はツアーの時系列に沿って進めさせて頂くので先ずは食事から。コシャリはエジプトの代表的な国民食。パスタとレンズ豆、ヒヨコ豆を混ぜトマトソースをかけた物。フライドオニオンがトッピングされている。酢と辛味ソースをかけて頂くが、至って普通の味。逆に物足りなさを感じて途中で飽きてしまった。

 

f:id:bucketlist:20170315090901j:plain

レストランで働いていた若者たち。エジプトの子供たちは喜んで写真に収まってくれる。素敵な笑顔だ。でも食事を終えて外に出たら、おねだりしてきたけどね。

 

f:id:bucketlist:20170315081632j:plain

モハメド・アリモスク (1857年完成)

 

f:id:bucketlist:20170315082128j:plain

f:id:bucketlist:20170315082222j:plain

内装も豪華で、天井も瀟洒。宗教の崇高なパワーを感じる。これらの写真を撮るために(モスクなので)帽子を床に置いておいたら、気がついた時には持って行かれてしまっていた。僕がいけないのだが、日差しの強い大地で初日から帽子を失ったのは厳しかった。(これ以上の髪の毛の喪失は許されないので、その後は手拭いを頭に巻いていた)

 

f:id:bucketlist:20170315082823j:plain

カイロ考古学博物館

 

f:id:bucketlist:20170315084419j:plain

カフラー像

 

f:id:bucketlist:20170315085117j:plain

パピルス船に乗るツタンカーメン王像

他にも歴史的価値のある遺品が無尽蔵に展示されているが、何と言ってもツタンカーメンの黄金のマスクや棺が圧巻だ。残念ながらそのブースは撮影禁止となっている。その精緻な細工や華美な装飾は、とても3千年以上も前の物とは思えない輝きを放っている。必見の価値有り。

 

f:id:bucketlist:20170315090423j:plain

初日の夕食はターメイヤ。写真奥の緑のボール状の物。ターメイヤはそら豆のコロッケ。これはかなり塩辛かった。イスラームは原則禁酒。幾つかのレストランは酒を注文出来たが、夕食でビールを飲めないのは辛い。

 

食後は再びカイロ空港に戻り、深夜の便でルクソールへ移動。ツアーは格安だが時間の余裕は与えてくれない。添乗員の指示に従って奴隷のように付いていかなければならない。ベッドに潜り込めたのは深夜2時。(酒を飲んだり余計なことをしていたせいもあるが)そして、早朝6時にモーニングコールが鳴り響いた時は「ここは何処?俺は何でここにいるの?」状態だった。エジプトの主たる名所を7日間(現地実質4日半)で巡る旅は超ハードだ。それでも、3千年、4千年そして5千年前のエジプトに出逢えるのかと思うと、気持ちは前へ進めと駆り立てられる。疲れたなんて言ってはいられない。Such Is Life.

 

先生との邂逅

朝型人間に退化した僕であるが、たまには夜の街へ出掛けてみようと

f:id:bucketlist:20170315154240j:plain

こちらのお店へお邪魔した。と言っても7時過ぎの宵の口だ。

 

f:id:bucketlist:20170315154404j:plain

マスターが見繕ってくれる洒落たカクテルをチビリチビリと飲りながら、マスターとの知的会話(二人はそう思っている)を愉しんだ。そろそろ就寝時間(9時過ぎ頃だったかな)が迫ってきたのでチェックを頼むと来客が。

 

そのお客さんは、3千人の聴衆の前で講演をされる高名な先生であった。久し振りの邂逅である。先生は静岡での講演の終了後「しぞーかおでん」(静岡おでんを地元ではそう発音する)で一杯飲られてご機嫌で浜松に戻られたという。少しの間だけ先生の有難いお話をお聞きして帰ることにした。先生は最近危険な山登り(写真を見る限りただの丘登り)にチャレンジしたり、梅林を訪れて酒を煽っておられるらしい。

 

そして…

「早く最終のバスに乗って帰れよ」

「今日はタクシーに乗って帰る」

「もうあんたに出す酒は無い」

「なんで出してくれんの?」

これはこのとあるバーで不定期に開催される「タ〇ラ〇ラン劇場」である。

 

見とれてしまった。気が付けば11時半だ。ミイラ取りがミイラ…。Such Is Life.

 

関連の無い話ですが、中京ゴルフ倶楽部とエジプト人ゴルファー

f:id:bucketlist:20170314083139j:plain

中京ゴルフ倶楽部石野コース (愛知県豊田市芳友町)

ゴルフ仲間のおっさんが、女子プロゴルフツアー「中京レディースオープン」が開催されるこのコースでプレイしたいと言い出して遠征することに。(逃げられてはいけないので、随分前から念押しされていたなあ)

 

このところの僕のゴルフは絶不調。練習場でもイジられナジられオモチャにされる始末だ。スコアが悪いのは流せるが、どうやらゴルフへの情熱も無くなってきたようで、遅かれ早かれゴルフをやめてしまうのだろうと思っている。そろそろ潮時かと…。

 

f:id:bucketlist:20170314084144j:plain

コースは名門らしく戦略的なレイアウトであったが、食事の方は残念ながら…。(そもそもゴルフ場で食事はしたくない向きである。高いし、〇〇いし)ゴルフを楽しめない僕にとっては慰めにもならなかった。それはそれは辛い一日であった。(遊びに行ってこんなこと言っていたら罰が当たりそうだけど)

 

そんな自分のゴルフのつまらない話はさておき、エジプトで飛び出たゴルフのお話を。

f:id:bucketlist:20170314084534p:plain

ツアー中に土産物店に立ち寄った時、興味が無いので店外でブラブラしていると、このおっさんが話しかけてきた。

 

(以下英語での会話)

「日本人か?プロゴルファーの青木功を知っているか?」

「ええ…」

「青木が1983年のハワイアンオープンで優勝した時、俺は4位だったんだぜ」

「え~っ!本当?」

「そうだ。青木が最終ホールでチップインして優勝したから俺は4位になったんだ」

「そうです。青木は最終ホールでイーグルを取りましたね。だけど本当?」

「知ってるのか?あの頃は俺もスリムで髪の毛も沢山あったがね。ハッハッハッ」

「お名前伺ってもいいですか?」

「おお、ADEL、アデルだよ」

 

エジプト人得意のハッタリだと思ったが、大会の年度も最終ホールのイーグルも話が合っている。おまけにエジプト人にしては癖の無い英語を喋っている。う~ん?

しかし、多分嘘だろうな。あの頃エジプト人のプロゴルファーが居たとは思えないし。でもそんなエジプト人の胡散臭さは嫌いじゃない。調子に乗せてやるのもご愛嬌ということで、「一緒に写真撮って下さいな」でパチリ。握手を交わして「サンキュー、バイバ~イ!」でも、絶対作り話だと思っている。いや、寧ろ作り話であって欲しい。その方が楽しいじゃないか。だってエジプト人は嘘つきなんだから。(悪意は無いのは分かっている)

 

後からネットで色々調べてみたが、プロゴルファーアデルのことはヒットするに至らなかった。どなたかこのおっさんのことを知っていたら教えて下さい。Such Is Life.

 

発掘品

f:id:bucketlist:20170313122127j:plain

エジプトにはお土産として買うべき物は特に見当たらない。ピラミッドやラクダの置物なんぞは元々興味が無いし、ガイド曰く「綺麗な置物は中国製です」ということだ。

 

f:id:bucketlist:20170313122449j:plain

アスワンという所にあるイシス神殿へは船に乗って向かう。その船着場には怪しい物売りがわんさかと屯している。ほらほら手にラクダの置物(多分中国製)持っているでしょう。それでもこの写真に写っているのは、まともな部類だ。

 

f:id:bucketlist:20170313124828j:plain

そんなしょーもない土産物の中で見つけたのは古くて小さなアラジンポットだ。

 

f:id:bucketlist:20170313125046j:plain

ノズルには穴が空いている。要するにガラクタである。それでも僕はアンティークとまではいかなくとも緑青を帯びた銅製のポットに愛着を感じ買ってみようと思った。

 

僕「いくらだ?」

店「40ドル!」

僕(こんなガラクタが5,000円近くもするわけないだろう…インチキ野郎め!)

店「いくらなら買う?」

僕「5ドル」

店「無理、無理。35ドルなら売る」

僕(話にならないので振り返って船着場の出口に足早に向かう)

店(追っかけて来て)「30ドル~!」

僕(知らんぷり)

店「20ドル~!!」

僕「要らね~!」

店「15ドル~!!!」

僕「5ドルにしろ!」

*このやり取りを繰り返し桟橋の出口の寸前で店員が背後から大声で叫ぶ。

店「旦那~!6ドルにするからさあ~!!」

僕(おもむろに振り向き「6ドル、OK!」こっちへ来いと手招きをする)

 

40ドルから6ドルへ値引き成功。というよりエジプト人の言い張る値段は全て出鱈目。これを値切るのが買い物の楽しみでもある。この桟橋があと50メートル長ければ値段は3ドルになったことであろう。

 

f:id:bucketlist:20170313134528j:plain

 

さて、そんなエジプトの土産物事情であるが、おかしな物を欲しがっておられる方がいらっしゃる。それは Frankincence 乳香(にゅうこう)というエジプトの香らしい。 

なんで帰国前に言ってくれなかったのだろう。現地で買う物無くて手持ち無沙汰だったのに…。でも、がっかりしないで頂きたい。そんなブロガーさんには「お腹が痛くなりそうな品物」を用意させて頂きましたから。乞うご期待!Such Is Life.

 

鰤大根

f:id:bucketlist:20170312055911j:plain

家族全員魚好きの我が家で、寒い季節にたまに食卓に上がる「鰤大根」

甘辛く煮られた鰤のアラをちびちびとつつきながらの晩酌は乙だ。

 

…? 今日は何かが足りない。あれっ!大根が入っていない。スーパーで確かに大根を買ったはずなのに。

 

「お~い、大根が入っていないんだけど」

「あ~、大根入れるの忘れたあ~」とカミさん。

これからこういうことが増えていくのだろう。心配だが仕方が無い。

 

大根はいいけど、鰤を入れるのは忘れないでいて欲しい。Such Is Life.

 

墓場の沙汰も金次第

エジプトで精力的に調査を進めております。

この日は、ある事情により場所については特定できないが、写真撮影が禁止されている重要な遺跡に調査に入った。

 

その由緒ある穴蔵に探索に入った時、他の入場者が居ないと見ると、門番をしていたエジプト人が中まで付いて来る。頼みもしないのに熱心にガイドを始めた。直ぐにチップ目当てと理解したが、調査終了後ガイドが内緒で写真を撮れと言う。「俺は黙っているから、あんたも内緒だぜ、ほれ早くしろ、お主も悪よのう、フッフッフッ…」と。(エジプト版の悪代官だ)この場所での写真撮影には興味が無かったが、悪代官の生業を思い悪ふざけに乗ることに決めた。法外な賄賂の要求には首を振ったが。

 

f:id:bucketlist:20170306014816j:plain

特別何ともない写真の出来上がり。

後ろでは撮影が終わるまで次の見学者の入場を必死に食い止めようとしている悪代官の声が鳴り響いている。墓場の沙汰も金次第か…。

 

墓場を後にすると「お主もアホやのう」という悪代官の声が聞こえたような気がした。アホって俺か?Such Is Life.

 

追記   悪代官は他の遺跡に行っても出てくる、出てくる、湧いてくる。賄賂(チップ)よこせ、賄賂よこせって。これが巷で聞くしつこいエジプト人ってヤツだ。おもろい。