(サンティアゴ・デ・コンポステーラのカテドラルに設置されている懺悔室にて)
神父様、私は苦しいのです。苦しいのは実はお腹なんですが…。私はこの数日間、聖地巡礼という言葉を隠れ蓑として、朝になく昼になく夜に至るまでなり振り構わず飲み食いを続けてきました。勿論その合間に幾つかの観光もこなしましたが。ところが、今になってもお腹はこなれていないのです。神父様、これから私が巡礼者を装って犯してきた罪を正直にお話します。どうか私の懺悔をお聞き下さい。
私は日本からやって来ました。
リベイラ市場
リスボンに到着するや否や、真っ先に向かったのは巨大なフードコートでした。
そこでは子豚たちも私を歓迎してくれました。これで心が踊らない人間はいないことでしょう。
先ずは飲み物を。長旅で喉が渇ききっていたのです。それは恵みの雨のようでした。SUPER BOCKがポルトガルのビールだと初めて知りました。
フードコートといっても、人気レストランが各ブースを切り盛りしています。
イカスミのリゾット
濃厚な味です。お歯黒になります。向かいに座ったロンドンからやって来たという女の子がブラックライスに興味津々でした。国際交流の必要を感じ、食べさせてあげたら面食らっていました(笑)。
豚腹肉のオーブン焼き
もう一品は店の方のお薦めを注文。皮はパッリっと焼かれていて身はジューシー。口の中でホロリと崩れました。グリーンのソースは野菜独特のえぐみは感じません。一流レストランの味でした。順調な滑り出しです。
バカリャウ(干し鱈)のコロッケ
2皿(カミさんとシェア)では少々物足らなかったので、コロッケのブースへ突っ走りバカリャウとツナのコロッケを物乞いしました。中がトロトロしていて鱈の塩加減がワインの吸引を加速させてくれます。
パステル・デ・ナタ
デザートはリスボン名物のエッグ・タルトを。強烈な甘さを覚悟していましたが、シナモンのスパイシーな香りが効いていて大人のスイーツでした。
昼食後は簡単な観光へ連れて行かれました。
発見のモニュメント 大航海時代に活躍した人々の彫像
他にもベレンの塔やジェロニモス修道院をさらりと見て周り、本日宿泊のホテルへと向かいました。(観光あっさりし過ぎですか?)
そして、欲深い私はツアーの夕食をパスして街へ繰り出すことにしました。
リスボンは坂だらけの街でした。しかもハードな急傾斜が至る所に。僅か数百メートルの坂にもケーブルカーが走っていました。
サンタ・ジェスタのエレベーター
エレベータで展望台に上がるとリスボンの街並みが一望出来ました。オレンジ色の屋根瓦が旅愁を掻き立てます。あゝ欧州に来たんだなって。
景色は良いのですが、私は高い所が苦手です。地上に降りてホッとするとお腹が減りました。
Joao do Grao
街を彷徨っていた私はこのポルトガル料理店に誘い込まれました。
Vinho Verde
ヴィーニョ・ベルデというポルトガルワインです。直訳すると緑のワインですが、ワインは緑色ではなく若いワインといったところでしょうか。微炭酸の爽やかなワインは、食事のお茶替わりというか水替わりです。ポルトガル滞在中はヴィーニョ・ベルデを連発しまた。水替わりなのに何故か酔いました…。
アサリと豚肉炒め
ポルトガル料理が良く分からないのでウエイターのお薦めに一任。アサリと豚肉のコラボは意外でしたが、醤油味を連想させる馴染みやすい味でした。
シーフードと野菜の煮込み
こちらもポピュラーな料理のようです。魚介の出汁が効いたシンプルな料理です。それにしてもポルトガル料理は大盛りです。ついつい食べ過ぎてしまうようです。自ら望まなくとも…です。
今振り返ってみると初日は極普通の旅の始まりでした。でも世間からは「巡礼者になりすまして飲み食いばかり」とか「修行は止めて、食一筋の旅を」などと批判に晒されていたのです。私は戸惑いを感じ始めていました…。Such Is Life.
懺悔は続く…。