長い旅の途上 星野道夫著
星野道夫(1952-1996) 写真家 探検家 詩人
学生時代に見た写真集に感銘を受けアラスカを訪問。以降、アラスカに住み着いて探検を続けながらアラスカの大自然と野生動物の写真撮影、執筆などを。1996年テレビ取材のために訪れていたロシアのカムチャッカ半島で、ヒグマに襲撃され死亡。43歳没。
花が咲き乱れる春の訪れと白夜の短い夏。ある日突然、一面が一気に赤く染まる早足の秋。あっという間にやって来る太陽が昇ることがない暗黒の冬。大自然に抗うとこなく共生する先住民のエスキモーやインディアンとのふれあい。夜空を舞い踊るオーロラの神秘。
5万頭にも及ぶカリブーの大移動。狼の遠吠え。あぶくの円から飛び出てくるザトウクジラ。一日で2,000kmを休むことなく飛び続ける渡り鳥。目の前にいるグリズリーとシロクマ。
「自然が好きです。田舎暮らしに憧れています」そんなことは厳しい自然と向かい合って暮らしている地元の方たちからしたら、所詮は都会に住む人の戯言だ(大抵の場合は)。ましてや氷に覆われた極寒の地アラスカ。住むどころか物見遊山で訪れることさえも儘ならないのは承知。それでも人間の手垢の付いていない自然が好きだ。せめてもの思いで写真や書籍で感じよう。自然とそこに住む人たちに敬意と畏敬の念を込めて。
アラスカの厳しい大自然と優しき人々に溶け込み共生している著者の姿に、豊かな生き方という安らぎと勇気を頂いた。Such Is Life.
*写真は星野道夫氏の作品より