34DINER (sun sea ダイナー)浜松市中区大工町
その店は、強面のチェ・ゲバラとマラドーナが描かれたビルの一角にあった。
店内はカウンターとテーブル席があり、気軽なビストロ風のおもてなし。
ここ浜松では珍しく、ジビエをメインにした洋食を楽しめるという。
HOEGAARDEN DRAFT
ベルギー産の白ビール。フルーティーな香りと甘いフレーバーがふわっと広がるが、口残りはスパイシーでスッキリと。他にも充実したクラフトビールのラインナップが揃う。
自家製ドライトマトとオリーブのマリネ(左)
ラ・フランスとプロシュート モッツァレラチーズのサラダ(右)
ラ・フランスの酸味を帯びた甘みと生ハムの塩気がタッグを組み、これから始まるジビエ・ワールド探検のスタートを告げるゴングを鳴らした。
鹿肉のピリ辛チョリソ
口に入れた瞬間に驚きを隠せないワイルドな食感と濃厚な風味。我々は、いきなり深い森の中へと引きずり込まれたようだ。
フィレンツェ風牛もつの煮込み
これが本当にモツなのか?と疑ってしまうほど柔らかく、あっけなく口の中でとろけてしまった。恐らくスパイシーなソースで相当の時間煮込まれたのだろう。
この先の深いジビエの森を迷うことなく道案内してくれた赤ワイン。しっかりとしていながら、後味は早春の森を抜けるそよ風のように爽やかだ。
天然シカロース肉のロースト
ソース無しでも十分なほどのフレッシュな鹿肉。火の通し加減が絶妙で、その食感に思わず溜息が出てしまう。もちろんソースも秀逸だ。添えられている玉葱と芋の甘さが縁の下の力持ちとなって、皿全体のボルテージを上げている。
天然鹿の田舎風パテ
まったりとした食感と「何を入れたんだね?」と聞きたくなるような腰の据わった仕事を感じるパテ。バゲットが幾らあっても足りないではないか。
骨付仔羊のロースト
さあラストディッシュのお出ましだ。だが、この直前に序盤で頂いた「鹿肉のピリ辛チョリソ」のリピートが、ドスン!とボディブローのように効いている。でも、ここでダウンは許されない。芳ばしいソースを纏ったラム肉は、柔らかくて全く臭みが無い。いや、ありのままのラムの匂いが、他の肉との違いをアピールして、ラムを食ったぞという満足感を与えてくれた。だが、もう限界だ…。
自然の恵みと命を頂いたことに、感謝をしたくなる一夜であった。
この森ならば、たとえ迷子になっても悔いはない。Such Is Life.