Such Is Life

soul-searching-diary

宮古島 BAR THINK

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前回のブログで、航空会社の上級会員になるために修行僧になったことをカミングアウトした僕だが、それだけで飛行機に乗り続けているわけではない(無駄な自己弁護とは思うが)。今回の修行地である宮古島での最大の目的(理由付け)は、こちらのバーである。

 

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BAR THINK (宮古島市平良字西里)

こちらのマスターは1988年に浜松でBAR THINKを開業され、その後17年前に浜松の店はお弟子さんに譲られて、宮古島へ移住してバーを営まれている。

 

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最初にお話ししておかなければならないことがある。エントランスに掲げられている注意書きの通り、こちらのマスターはマナーに非常に厳しい方だ(バーでは当然のことでもあるのだが)。かつては少々声が大きいだけで間髪入れずに注意していた方だ。浜松では開業当初から「あそこの店で怒られた」という話題が電光石火の如く市中に広がった。それもSNSなどが発達していない時代、口コミだけで「客を叱りつける伝説のマスター」となったのだ。当時街中をうろつく野良犬も、この店の前は避けて通ったそうな…。

 

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緊張の時だ。怒られはしないだろうか…。僕は襟を正して重い扉を押した…いや、引いたかもしれない…(とにかく緊張していたのだ)。

 

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当地の方には失礼ながら、店内は宮古島からは想像の付かないオーセンティックな雰囲気が漂っている。17年の歳月とマスターの店への想いが、飴色のノスタルジアとなって溶け込んでいる。

 

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バックバーも充実。酒を知り尽くしたマスターに選ばれし酒たちが出番を待っている。

 

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「浜松から来ました」

「ほお、浜松からは珍しいね」

 

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それから浜松の店のこと、宮古島でのことなどをお話しさせて頂いた。

「よくお客さんに怒ってましたよねえ?」

「浜松の人たちにバーをわからせてやろうと思ってたんだよ。とにかく怒ってたなあ。ここに来てからも怒ってたけどね」

「僕も怒られました…」

 

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意外だったのは、あの伝説のマスターがよくしゃべるのなんのって…。

開業前には、のんびりとした宮古時間に悩まされたようだ。納期が迫っても仕事が捗らない内装業者やオープン当日にも届かなかったウイスキー。開業日にあったのはビールだけだったとか。でも今ではその宮古時間を楽しんでおられる様子。

 

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しかも、マスターは昼間は海に潜ってタコを獲り漁協に売っているという。今や海の何処にタコの入っている穴があるか手に取るようにわかると自慢気に話される。夜は名バーテンダーで昼はタコ獲り名人。「ここでは昼も夜も好きなことだけやらせてもらっている」その様子を語るマスターのお顔からは幸せが滲み出ている。聞いてるこちらまで心が浮き立つほどだ。

 

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失礼は重々承知の上で、尊敬と憧憬の念を込めて言わせて頂きたい。この方は変人である。しかも最高の人生を送る変人だ。浜松の伝説のマスターは、今や宮古島で至福の人生を送る達人となられていた。

 

店を後にして、ふらつきながら宿へ帰る道。僕は南国のそよ風とマスターからお裾分けして頂いた幸福の余韻に包まれていた。Such Is Life.