Such Is Life

soul-searching-diary

幼なじみの壮絶な人生

小学校の同級生たちと飲みに行った。

 

その内の一人とは随分と久し振りの再会だった。ユニークなキャラの彼とは、よく一緒に悪ふざけをしたものだ。ところが、彼の父親はヤバい職種の人だった。その筋の事情など分からないガキだった我々は、何とも思っていなかったし、遊びに行くと親父さんは「お前ら、ラーメン食ってけや!」と気前良く出前を取ってくれたりした。

中学を卒業し別々の高校に進学して以来、彼と会う機会は無くなってしまった。当時親父さんは雀荘をやっていたが、その後飲食店をやったりしたが上手くはいかず、若くして亡くなったと風の便りに聞いていた。

 

それからの彼の壮絶な人生が語られた。

自分名義ではお金を借りることが出来なかった親父さんは、三人の子供名義で多額の借金を残して亡くなってしまったそうだ。彼は22歳の時に、姉と妹名義の分まで借金を背負ってしまう。それからは昼夜を問わず働き、借金取りから逃げるためにアパートを転々とし、夜は電気を消して夜中のドアを叩く音にも居留守を使っていたそうだ。

 

それから10数年の苦労の末借金を完済し、結婚して子供も授かったという。今はローンの返済も終わった自宅で、お母さんの面倒を見ながら働きに出ている。ただ、お姉さんは行方不明で、3年前には妹さんが癌で亡くなったそうだ。

彼は「あの頃は友達にも会いたくなかった。皆が立派になっていくのを見るのが辛かった」と言う。「大変だったなあ。良く頑張ったよな」という我々の言葉は、彼には上っ面な言葉にしか聞こえなかっただろうが、「今回誘ってくれて、めっちゃ嬉しかった」と喜んでくれた。

 

別れ際、彼を抱きしめて「楽しかったな。また会おう」と声を掛けると、彼は声を上げて泣いた。お互いにとっての40年以上の空白の時間が、一瞬で埋まったような気がした。これからは付き合いの途絶えた15歳に戻って、悪ふざけ仲間としてリスタートだ。我々の “あの頃” を取り戻すのに、何の努力も必要ないだろう。Such Is Life.

 

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(食い散らかした汚い写真ですいません)

*若者が集まる安酒場で、一人当たり3千円ちょっとで6時間以上も居座ってしまったおっさん達。彼の苦境に打ち勝った人生の話で、時間も何もかも忘れてしまった。