A LONG VACATION 大滝詠一
A LONG VACATION 大滝詠一
1981年発売。当時学生だった僕は、あまり邦楽には興味が無かったが、当時は猫も杓子も聞いていたので(聞いていた方すいません)、僕も杓子になってみた(猫にすれば良かったか?)。ダビングしてもらったカセットテープ(死語)を、それなりに聞いていたものだ。
今でも僕は夏が来るたびに、このアルバムを少なくとも1度は聞いている。
中でもお気に入りの曲は、「雨のウエンズデイ」や「恋するカレン」など。
ー恋するカレンー
キャンドルを暗くして スローな曲がかかると…
(中略)
振られるとわかるまで 何秒かかっただろう
(中略)
かたちのない優しさ それよりも見せかけの魅力を選んだ
(中略)
OH!KAREN 誰よりも君を愛していた
心を知りながら捨てる
OH!KAREN 振られた僕より哀しい
そうさ哀しい女だね君は…
簡単に言うと、付き合っていた彼女に振られた男の切ない感情だ。
あの当時、この歌詞を「そうだよな、そうなんだよ」と思っていた。
でも歳を取るにつれ、その可笑しさに気が付く。
「誰よりも君を愛していた 心を知りながら捨てる」
誰よりも愛しても、ダメなものはダメじゃん!
「振られた僕より哀しい そうさ哀しい女だね君は…」
そんなわけがないだろう?!振られた方が哀しいに決まってるじゃないか!
この曲が振られた男のセンチメンタルな恨み節であることに気が付いたのは、30も半ばを過ぎた頃であっただろうか。それからは若かりし頃の自分の思い違いを笑いながら、毎夏このアルバムを引っ張り出して聞いている(曲は大好きなので)。
今年はタイミングを失して、秋の気配を感じるようになってから聞いた。すると、いつもの年とは違って何だか切なく聞こえる。
「振られた僕より哀しい そうさ哀しい女だね君は…」
あの頃僕は、本気でそう思っていた。俺って哀し過ぎたな…。Such Is Life.